医療機関への支払いの種類(2)包括払い制度
前回からかなり時間が経ってしまいました。
(ちゃんとこまめにアウトプットしないとですね。授業でアウトプットして満足していました。笑)
さて、前回お話しした医療機関への支払いの種類の一つ目として、「出来高払い制度」がありました。
出来高払いとは、検査や投薬、注射などのそれぞれの診療行為に点数がついていて、その合計から医療費が計算されるものです。
出来高払いは、出来高に応じて、つまり医療サービスの「量」に応じて、医療費が計算されるものでした。
そのため、過剰な投薬や検査につながり、それが医療費を増大させているのではないかと考えられているわけです。
歴史的には、昔はすべての国で、医療への報酬はこの出来高払い制度でした。
日本の外来の診療報酬制度もこの出来高払い制度なのですが、実は入院については、今日お話しする「包括払い制度」が導入されています。
この「包括払い制度」、包括という言葉の通り「まとめて」という意味です。
日本ではDPCとも呼ばれていて、Diagnosis Procedure Combinationの略です。
この「包括払い制度」というのは、診断された傷病名や病状等により、入院の治療内容が分類されており(診断群分類と呼びます)、この診断群分類ごとに一日あたりの入院費が厚生労働省により定められているものになります。
つまり、ある病気で入院した場合、
「その病気の1日あたりの入院点数 × 入院日数 × 医療機関別の係数(病院の機能に応じて決められています)」
と計算されます。
尚、手術料やリハビリ料、人工透析や内視鏡検査などの一部の検査は、これまで通りの出来高払いがとられており、上記との合計が医療費になります。
入院点数には、入院基本料や検査、投薬、注射、画像診断等が全て含まれていて、診療の内容に関わらず、1日あたり何点、と決められています。(1点=10円)
入院する病名や治療内容により医療費が変わりますし、入院日数によっても医療費が変わります。
なるほど、では患者が支払う医療費は高くなるのか?といった疑問が当然湧いてきます。
これは、高くなる場合もあれば安くなる場合もあると言えます。
しかし、医療機関としては、厚生労働省により定められた診断群分類に基づいて金額が決められているので、ある疾患に対して多く投薬、検査しようなど、量を増やすインセンティブはありません。
さらに、入院期間が短いほど医療費(診療方式)が高いため、できるだけ入院期間が短くなるようなインセンティブが医療機関に働きます。
このように、増大する医療費の抑制を目的にこの包括払い制度が取り入れられています。
ただし、外来については従来の出来高払いのため、入院中に行っていた検査や投薬を、退院後に外来で行うというインセンティブも発生することに注意しなければいけません。
この包括払い制度は、2003年4月(平成15年度)から大学病院などの全国82の特定機能病院に導入され、年々導入病院が増加しています。
実際に、これにより医療費の抑制が行われたかについては今後の研究課題にしたいと思います。
尚、「DPCの評価・検証等に関わる調査」が厚生労働省により毎年公表されています。(こちら)
コメント
コメントを投稿